昭和8年、私の祖父が愛知県名古屋市にて医療機器の総合商社を立ち上げたのが当社「三輪器械」の前身です。その当時は、日本が国連を脱退し、戦争へと進んでいった年であり、一方で海外・アメリカでは、それまで敷かれていた禁酒法が解除されるなど、現代と比べると想像もつかないような時代背景でした。医療機器商社として産声をあげた当社の前身ではありますが、その当時は輸送手段も確立されていなかったため、荷車やリヤカーなどを用いて商品を運び、大変な苦労を重ねながらも医療に貢献していたと伺っています。その後、昭和21年には私の父が「三輪器械店」と社名を改め、そして現在の当社へと至ります。
私が会社を継ぐまでの間に、第二次世界大戦や伊勢湾台風といった多くの苦難がありました。その苦難を乗り越えた当社が創業当時から変わらず携わってきた医療業界は日進月歩で、患者様のために常に技術は進歩しています。それに伴って、流通を担う私たちも絶え間ない努力を続けていかなければなりません。三輪器械を引き継いだ私の使命は、古くから受け継がれてきたものをきちんと守り、時代の変化にも柔軟に対応していく、「温故知新」の精神で医療業界に貢献していくことだと考えております。
私たちが大切にしている想いは「ペイシェント・ファースト(患者様第一主義の精神)」であります。当社、三輪器械の仕事の先には多くの「患者様」がいらっしゃいます。健康に不安をお持ちの方、今の健康を維持したいと考えていらっしゃる方、そんな多くの方を身体的にも精神的にもお助けするために私たちは存在しているのです。当社の全ての社員がこの「ペイシェント・ファースト」の精神を持っていることが、80余年の歴史ある当社のイズムとして誇りを持って言える強みのひとつではないでしょうか。また、各論的には80余年医療一筋でやってきておりますので、その中で培われた病院様・お医者様・医療関係者様との人間関係も当社の強みのひとつであると考えています。先ほどもお話ししましたが、医療の世界は日進月歩。技術のみならず、制度や法規も変化していきます。その変化に対応していくための情報収集は欠かせません。私たちが先人たちの代から受け継いできた精神と、顧客との繋がりを最大限に活かし、これからも努力していく次第であります。
先ほど情報収集の重要性について少し触れましたが、昨今では特に「低侵襲(ていしんしゅう/患者様のお体への負担を軽減する医療技術)」というキーワードを耳にする機会がよくあります。当社はこの「低侵襲」というニーズにもいち早く目を向けまして、社内で低侵襲治療の専門部署を設けました。また、医療制度の変化についても機微に捉えていかなければなりません。社会保障費の削減による診療報酬の改定等で、私たちのクライアントである医療機関・施設様は経営の刷新・合理化も当然検討されることでしょう。これらの課題にも私どもは流通の担い手として、物流コストの削減や企業努力によってクライアントの経営的な合理性に貢献できればと考えています。
私どもはこれからも80余年の歴史とプライドを持って、医療業界に寄与して参ります。